2019年07月03日

高架線

映画監督が深夜枠で作るテレビドラマにありそうな、小さなエピソードを少しコミカルに仕立てながら淡々と紡いでいくスタイル。ちょっとおかしなことも、まあこの世界においてはありそうだと思わせる独特の空気感。著者初めての長篇とのことだが、短篇のときより読みやすいようにも感じた。配慮があってのことだろう。そして、小さなエピソードを次々とつなぎ合わせていくと、読み始めには想像もしないような広がりをもった、大きな小説だということが見えてくる。それはそうなのだ。世界は広いが、ひとつひとつは小さなエピソードから成っている。個人的なことへの接写から、急にカメラを引いて俯瞰。視界が広がった瞬間に、ユリイカ!と叫びたくなる、そんな小説。

高架線
滝口悠生 著
講談社
本体1,600円

野上由人

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