2020年12月23日

ルピナスさん

書店で働きはじめて
児童書担当になったとき
もうなにがなんだかわからなくて
図書館で働いていたという人に

なにから読んでいったらいいでしょう?

と言ったら

棚のはしから順番でいいのよ
あ そう これね
すごくいい絵本よ

と言われて
その人が手にとったのが
この絵本でした

読んでみると
クラシカルなクーニーの絵で
ひとりのおんなの人の一生が
描いてありました

それまでぼんやりあった絵本のイメージとは
ずいぶんちがいました

娘が幼稚園になったころ
家においてあったこの絵本を
よんで
とよく持ってきて
そうか ちいさな子どもも
この絵本がスキなんだなあ
っておもいながら
ふたりでよくよみました

あるとき娘が

この人 どうやってトイレ行くの?

と言いました
それはヒロインのミスランフィアスが
せなかをいためて
春じゅうベッドにねていなければなりませんでした
というような絵でした
ミスランフィアスはどうもひとり暮らしのようで 家にだれか来ている様子もありませんし わたしは

うーん どうやってかな

と言って そんなこと考えたことも
なかったなあ
とおもっていたら
娘が

あっ わかった
これだ

と言って絵のなかを指さしました
そのとき
ああ 絵本の作者とこどもは
こんなふうにつながってるんだ

子どもが ミスランフィアスが
トイレはどうするのか
気になるのがちゃんとわかっていて
絵のなかにこたえを用意しているんだな

そして
わたしはほとんどの絵本を大人になってから
読みましたが
大人とはちがって子どもは
絵本の世界に
深くはいってゆく読み方
絵本を味わっているんだなあ
ってしみじみしました

たくさんあるクーニーの絵本のなかでも
おもいで深い作品です

ルピナスさん
バーバラ・クーニー/掛川恭子
ほるぷ出版
本体1,300円

山口 敦子
リブロ 新大阪店

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