2021年02月12日

結婚式のメンバー

12歳の少女 フランキーの
ある夏の物語です

誰か人に会って、あとでその相手の顔かたちより、
むしろ気持ちみたいなものとして思い出すことはあった?

とベレニスにきく フランキー

ところがこのフランキーには「わたしたち」と
呼べるようなものは何ひとつなかった。

と気づいたフランキー

わたしの10代はどんなだったかな
とおもうと

そのころ
やすらぐ居場所みたいなのが
ないと感じていて
だけど 自分でいろんなことを選べることも
当然できずに
だんだんかたくなになり

ちょっとしたきっかけで
まわりの人たちに
自分をみせるのをやめてしまおう
とおもい

ある時期から
学校でも 家でも
ほとんど話さなくなりました

おとなしいね
とか
なに考えてるかわからない
と言われました

けれど
話したところで
自分のなかがどうなっているのか
伝わる気が全然しなかったし
そもそも
伝える言葉も
持っていなかったのかもしれません

さみしかったし
だれかとつながることを
夢みましたが
それは
毎月のマンガ雑誌のなかにしか
ありませんでした

そして 自分には なにもない

スポーツも
音楽も
容姿も
もちろん?勉強も
ぜんぶダメだしな

みたいな気持ちですごしていました

写真の自分をみると
ものすごくイヤな気持ちになりました

まあ悪くないな
とおもえるようになったのは
それから
何十年も生きたあとでした

いつか 心理学者の方の

思春期と呼ばれる時期は
深い谷にかけられた丸太橋みたいなもので
下をみたら その深さに圧倒されて
向こう側にわたるのは
容易ではないが
知らずにさあっと渡る人もいて
深い谷をみたからといって
深い人間性をもつということではない

みたいなお話があった記憶があります

フランキーのそばに
ベレニスがいてよかったな
とおもいます

わたしには
少女マンガがありました

その世界に入りこむと
まわりの声はきこえませんでした

三面鏡のまるイスに座って
テニスのマンガをよみはじめたとき
部屋がぐるぐるとまわって

これは人から借りて読んでる場合じゃない
買いに行かなくちゃ
とおもって
おこづかいをかきあつめて
シリーズを
買いに行った日

そんなわたしの
10代をおもいだしました

公園のベンチや
barのカウンターで
読みたいような
しゃれた装丁
訳者の解説もうれしい
小説を読む醍醐味とは
こんなこと
と味わえる 一冊ではないでしょうか

結婚式のメンバー
カーソン・マカラーズ/村上春樹
新潮文庫

山口 敦子
リブロ 新大阪店

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